映画『スローイング・ダウン ファストファッション』から学ぶ消費者ができるサスティナブルな衣服の選び方

           
        映画『スローイング・ダウン ファストファッション』から学ぶ消費者ができるサスティナブルな衣服の選び方

今回は映画からファッションとサスティナブルについて考えていこうと思います。

以前、下記の記事で、この「サスティナブルファッション」というテーマを取り上げています。

こちらの記事では、嶋村吉洋さん主催のソーシャルビジネスコミュニティ「ワクセル」のコラボレーター、上野伸悟さんがウールの魅力とサスティナブルファッションに変える価値について語っている対談を紹介しました。

今回紹介する2016年公開されたドキュメンタリー映画『スローイング・ダウン ファストファッション』は、ウールの魅力はもちろん、「ファストファッション」というファッション業界が抱える問題と、これからのファッションの在り方について描かれた作品です。

映画『スローイング・ダウン ファストファッション』の紹介

スローイング・ダウン・ファストファッションは、英国チャールズ皇太子がパトロンとなっているキャンペーン・フォー・ウールとの協力によってローンチされ、ミュージシャン、ライター、チーズ生産者でもあるアレックス・ジェイムスがプレゼンターを務めたドキュメンタリー映画です。

Amazon Prime Video より

ファストファッションの生産の裏側、天然繊維と合成繊維それぞれが与える影響、ファッション業界の未来、そして私たち消費者が取り組むべきことは何か、これらをアレックス氏の取材によって、衝撃的事実も含め、描かれています。

主流はファストファッション、これがファッション業界の現状

技術の進化により、衣服の素材は天然繊維から化学繊維が主流となり、機械によって大量に安く生産することが可能となりました。これがファストファッションの始まりだとされています。

昔は品質が高く、長く着られる服が好まれていましたが、現代では手に取りやすい価格の服を、大量に所有することが好まれているそうです。

この大量所有は結果、大量廃棄にもつながり、映画の舞台イギリスでは、毎年100万トンの衣料が廃棄され、その5割は埋め立て地へ送られていると述べられています。

ただし、埋め立て地に送られた廃棄衣料のほとんどが化学繊維によるもののため、土に埋められたとしても、土に還ることはないのだそうです。

https://fashion-hr.com/hr-talks/hr-talks_real/17626/ より

ファストファッションの問題点と解決の糸口

映画では、ファストファッションの問題点を大きく2つ挙げています。

①土に還ることのない合成繊維を使用していること。

②劣悪環境下で労働が行われていること。

①ウールと合成繊維が与える影響

キャンペーン・フォー・ウールのイベントで、ウールセーターと合成繊維セーターを土に埋めて自然に還るのかを実験し、4か月後に掘り起こしたらウールは本当に分解されて土に還る様子や、アレックス氏の実験によって、ウールは燃えにくい素材だということを実証していました。

衝撃だったのは、合成繊維とウールのセーターを同時に燃やした時、合成繊維は要するに石油と同じなため、異様な臭いを発しながら、あっという間に燃え広がった映像です。

ウールがいかに自然界に分解される、サスティナブルな素材であり、合成繊維を燃やす時に与える影響についてが分かる内容になっています。

②劣悪環境下で労働を強いられている人々がいる

映画の中で、2013年に起きた、死傷者1,000人以上を出した、バングラディシュの縫製工場崩壊事故について取り上げています。

この悲惨な事故は、ファストファッションの流行により、スピーディな大量生産が求められた結果、多くの人々がビル管理さえ行き通っていないような劣悪な環境下での労働を強いられていたという実態が、浮き彫りになった出来事でした。

解決の糸口はフェアトレードの導入

この問題解決への動きとして、食料業界では多くなってきている「フェアトレード」が挙げられています。

生産者がどこの誰なのか、どんな想いで生産しているのかが消費者にも分かり、さらには生産者の働く環境が収益によって守られていきます。

ファッション業界でも問題解決のひとつとして、有名ブランドや若者発信の新規事業を起点として、生産者の想いの見える化や、労働者を守る動きというものは徐々に起きていて、そのブランドや事業は、ファッション業界の問題点を解決するとして注目されているそうです。

ウール人気の立役者「ヴィヴィアン・ウエストウッド」

有名ファッションブランドの「ヴィヴィアン・ウエストウッド」もその動きを取り入れている企業のひとつとして取り上げられています。

ウールのデザイナーとして認められる前、ウールニットをいち早く再導入し取り組んでいったそうです。このブランドでの現在のウール人気は高く、また、羊毛業者には適切な賃金が支払われているのだそうです。

https://fashion-hr.com/hr-talks/hr-talks_real/17626/ より

衣服の消費者として取り組むことは、まず考える」ことから

映画のラストでは、消費者としてサスティナブルファッションの実現のためにできるポイントを以下のようにまとめていました。

①服の素材は?産地は?生産者の想いは?その衣服の使用後はどこへ行くのか?を考えること。

②質の良い衣料に投資をすること。つまり、天然素材やウールを買い、修理修繕をして、どうやったら長持ちさせることができるか?を考えて使うこと。

③チャリティーショップに行ったり、シェアをする、交換する、アップサイクルをするなど、衣服のリサイクル、リユースの方法を考え、それらを選ぶこと。

アレックス氏は、ファッションは自分を表現するアイテムであり、気分を良くするものであるからこそ、上手く付き合っていくことが大事だと述べていました。

https://fashion-hr.com/hr-talks/hr-talks_real/17626/ より

私も、実際、サブスクリプションで衣服のレンタルやシェアをして、最近は極力買わないようにしています。

また、アップサイクルレザーのファッションアイテムを取り入れたり、衣服やタオルなどもなるべく、ウールや綿、シルク、麻などの天然素材100%や、天然素材が多く含まれているものを選ぶようになりました。

みなさんも、毎日着る衣服選びにサスティナブルファッションを取り入れることはもちろん、買う前には、食料品と同じようにタグや表示ラベルで原料、生産国を確認したり、目の前の衣服の将来を考えてみるのはいかがでしょうか。

参考

https://eiga-watch.com/alex-james-slowing-down-fast-fashion/

https://clairmag.com/fashion/slowingdown-fastfashion/