焼かないのにパン屋さん?フードロスを減らし雇用を作る「夜のパン屋さん」

           
        焼かないのにパン屋さん?フードロスを減らし雇用を作る「夜のパン屋さん」

今回は最近出会ったパン屋さんを紹介します。
その名も「夜のパン屋さん」。

私が出会ったのはたまたま通りかかった「いっぴんいち」という港区の田町駅で行われていたマルシェでした。

販売スタッフさんも明るく、気さくに話してくださり、楽しく買い物をしました。
購入した100%ヴィーガンのパンの詰め合わせは、とてもしっとりしていて、美味しかったです。

この「夜のパン屋さん」は、食品ロスを減らしながら仕事の機会をつくる、焼かないパン屋さんとして注目されているようです。

「夜のパン屋さん」について、3つのキーワードを元に仕組みと、大事にしていることを紹介していこうと思います。

https://www.anytimefitness.co.jp/healthier-magazine/special/bigissue/

夜だけオープンする「夜のパン屋さん」とは?

ここでは3つのキーワードから見ていきます。

1,フードロスを減らす
2,選ぶ楽しみを作る
3,働く場所を作る

1,フードロスを減らす

普通のパン屋さんでは毎日パンが作られて売られています。
心を込めて作ったパンは売れ残ってしまったら破棄されることが多く、これらはフードロス問題に繋がります。

そこで、夜のパン屋さんでは、協力してくださっているパン屋さんから閉店間際、売れ残りそうなパンを預かり、夜に代理販売をしているのです。

この仕組みによって、パンを作る側のパン屋にとって、フードロスを減らし、収入にもなります。
さらに、心を込めて作った大事なパンが、きちんと誰かのお腹と心を満たす喜びに繋がるのです。

2,選ぶ楽しみを作る

協力店舗も、都内の有名店や老舗店の他、北海道や静岡からも冷凍で届くそうです。
最近では、私が購入したヴィーガン向けのお店などもあり、どこのどんなパンがあるかはその日のお楽しみだとか。

それらのパンを詰め合わせて販売もしているので、パンのセレクトショップとしても、毎回楽しめるように工夫を凝らしているようです。

https://www.anytimefitness.co.jp/healthier-magazine/special/bigissue/

3,働く場所を作る

夜のパン屋さんは、生活困難者や、社会からの居場所の無さを抱えている方が多く関わっており、すぐに気軽に小さな仕事の機会を生み出していることも特徴的です。

現在、都内の神楽坂・飯田橋・田町駅で夕方から夜にかけて、週1回〜3回定期的にオープンしています。

火・木・金曜日の週3回オープンする神楽坂を例にすると、販売員と言われるコアスタッフは3名ほど。夜遅くの販売ができない方々は、協力店からピックアップするだけのスタッフもいるようです。

こうした販売員やスタッフの中には、コロナの影響で生活困窮している方、シングルマザーの方、急にバイト先がなくなってしまった大学生もいらっしゃるそうです。

誕生は女性料理研究家のある思い

料理研究家の枝元なほみさんは、仕事柄フードロスについて関心が元々高かったそうです。
どうにかして、余ってしまう食べ物を必要な誰かに届けることを仕組み化できないか、という思いから「夜のパン屋さん」は誕生しました。

さらに、生活困窮者たちが路上で販売して収入を得るための雑誌を作る「ビッグイシュー日本」の活動にも共感され、のちにNPO法人ビッグイシュー基金共同代表となった枝元さんが、パン屋さんに呼びかけてできたのが、「夜のパン屋さん」なんだそうです。

2020年10月にプロジェクトとしてプレオープンし、2022年には練馬区でパン屋にカフェを併設した「夜パンB&Bカフェ」や、いっぴんいちのようなイベントにも参加されています。

https://www.facebook.com/photo/?fbid=578959534231507&set=ecnf.100063523960831

三方良しを体現

近江商人を表す「売り手よし、買い手よし、世間よし」という「三方良し」という考え方があります。「夜のパン屋さん」はこれをまさに体現しており、大事にしているようです。

実際、協力店舗も、パンが売れ残ったらラスクを作るなど、フードロスを減らす企業努力もしながら、それでも売れ残りそうなったパンを夜のパン屋さんに卸すことでこの仕組みは成り立っているとのこと。

私たち買う側も、「夜のパン屋さん」でパンを買うことが社会貢献に繋がるので「ちょっといいことをしている」と思えますよね。

このちょっとした「なんかいい」という、店舗を構えない小さな商いが、生活困窮者の生きがいを生み出し、居場所がなかった人々も世間と繋って、更に世の中に「いいことをしている」と感じられる。

関わる全員が誰かに何かいいことをしている、これこそが「夜のパン屋さん」が考える三方良しなのではないでしょうか。

枝元さんの想い

日本で暮らしていると、いつでもどこでも簡単に食料が手に入り、フードロスや飢餓の問題にはなかなか気付くことができません。夜のパン屋さんは、食品流通の裏側や貧困問題について、おいしいパンを通して気付かせてくれる取り組みです。夜の街に温かい灯をともすフードカーは、わたしたち一人ひとりができることは何なのか考える機会を、パンと一緒に運んでくれます。

https://www.anytimefitness.co.jp/healthier-magazine/special/bigissue/ より

フードロスを減らしながら、雇用の機会をつくる、パンを焼かない「夜のパン屋さん」。
実際に関わる温かい人柄に触れて、ちょっといいパンのお買いものを楽しんでみてはいかがでしょうか。私も見かけたらまた買ってみようと思います。

<参考>

https://www.facebook.com/yorupan2020

食品ロスを減らしながら仕事の機会をつくる夜のパン屋さん | 枝元なほみ |エニタイムフィットネス (anytimefitness.co.jp)

そのパン屋は、夜ひらく ~コロナ禍のフードロス解消は三方よし~ | NHK

夜のパン屋さん、12月15日から3号店がJR田町駅近くで営業スタートします! | ビッグイシュー日本版 (bigissue.jp)